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半額以下のコストダウンも可能。店内工事の価格交渉テクニック半額以下のコストダウンも可能。店内工事の価格交渉テクニック

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ご挨拶

第三回では店内工事費用のコストダウンについて説明します。
工事費用の相場観を知っている人は少ないかと思います。
そのため、業者さんの提示した見積もりが適正価格なのかの判断ができない場合が多いです。
自分のサロンをオープンさせるにあたって、店内の雰囲気を左右する内外装へはひときわのこだわりがあるのではないでしょうか。
地中海の雰囲気で、床は白いタイルで、壁は木のぬくもりがあって、間接照明でやわらかい雰囲気にetc
こだわればこだわるほど費用がかかります。
初期費用をなるべく抑えるために、工事費用のコストダウンテクニックはとても重要です。

本当に半額以下にコストダウンできるのか

本当に半額以下にコストダウンできるのか

工事費用の内訳はご存知でしょうか。
工事費用は「材料費」「人工(にんく)」で決まります。

人工(にんく)とは作業量を表す単位です。
1人工=1人の職人が1日(朝から夕方まで)にこなせる作業量です。

なぜ、費用の内訳を知ることが大切かといいますと人工は業界で概ね相場が決まってるからです。
金額はもちろんのこと、1日でできる作業量も決まっています。

具体例を書きます。

クロス(壁紙)の貼り替えの場合、6畳の部屋であれば1人工で貼り替えられます。
そして、1人工の費用は東京都内の場合で20,000円前後です。
この費用は、壁紙を張り替える職人さんでも、電気工事をする職人さんでも大きく変わりません。

見積もり800,000円の工事の場合を考えてみます。

内装工事を職人さん2人で5日間かけて作業をした場合、 800,000円-(2人×5日間×20,000円)=600,000円 が材料費ということになります。 他にも廃材の処分料とか、資材を運搬した場合、ガソリン代や駐車場代なども発生します。
そういうものがこの600,000円に含まれているということです。

そして、ここからが重要です。

材料はそこまで高額ではない。

ということです。

サロンの床に真っ白い大理石を敷き詰めて地中海の雰囲気を出したい!
だけど、大理石って高いから無理だなぁ

というのが普通の方の感覚です。

実際に大理石の床材はどの程度の価格で購入できるかといいますと1m26,000円ぐらいです。
10坪(約33m2)の店舗の床に必要な大理石の費用は6000円×33m2=198,000円程度です。
もちろん大理石じゃない天然石であれば1m21,000円台の材料もあります。

想像以上に安いイメージを持つことができたと思います。

では具体的にどうやってコストダウンするか。

それは、工事に必要な材料は自分で購入して、職人さんには工事だけをお願いするという方法を取ることです。
そうすると材料費が抑えられるので、職人さんの人工と廃材の処理代金、駐車場やガソリンなどの諸経費だけの費用で工事ができます。

廃材の処理費用の相場は?
・2トントラックで2〜3万円円程度です。
これに運転手の人工が追加されますが、それは職人さんが兼務してくれるため不要です。

駐車場やガソリン代は?
近隣の駐車場代の相場程度です。

人工のフル活用も大切です。
職人さんの1人工のお話しは先程書いた通りですが、1時間で作業が終わっても1人工の費用が発生します。
職人さんには大工さんもいれば、水道業者さんも電気工事業者さんもいます。
もちろん、大工さんは電気工事はできませんし、電気工事業者さんも水道工事はできません。
そのため、ちょっとした電気工事でも電気工事業者さんの職人さんにお願いしなければなりません。
たとえ、コンセント1つ設置する1時間の作業でも電気工事業者さんにお願いすることになります。

しかし、床にタイルを貼る作業と壁にクロスを貼る作業は同じ職人さんができます。

「どの工事をどういった業者さんにお願いすればいいか」という疑問については次の章「工事業者さんと気持ちよく仕事をすすめる方法」で説明いたします。

工事業者さんと気持ちよく仕事をすすめる方法

工事業者さんと気持ちよく仕事をすすめる方法

この工事費用のコストダウンテクニックは価格交渉です。
工事をされる業者さんにとっては、面倒臭いお客になりがちです。

だから、「こういうところで建材を買って設置って可能ですか?」というような一言を挟めば、 「この人はちょっと勉強しているな」と思ってくれて一般価格より安く見積もりを出してくれる可能性が高まります。
その見積もりの適正判断は人工計算などで導き出せます。

そして、工事業者さんとのやり取りのなかで効率のいい人工の活用法を教えてもらいましょう。
ここでは第二回にも書きました工事業者さんとのやりとりのシミュレーションでご説明します。
工事業者さんは実家の外壁の塗り替え工事の際にお願いした業者(塗装屋)さんということにします。

以前、実家で外壁の塗り替えをお願いしたのですが、店舗を作ることになったので工事をお願いできますか。
どのような工事ですか。
床の張り替えと壁の塗装、照明の取り付けです。対応可能でしょうか。
床の張り替えと壁の塗装はウチでできますよ。仲間内に電気屋がいるので電気工事もできます。
実は予算があまり無くて、建材など自分で調べてみたのですがその建材での工事をしていただけますか。

床が30m2ほどで、塗装していただきたい壁は150m2ほどにです。何人工ほどかかりますか。
それでしたら、3人工ほどでできますよ。
コンセントの増設や外看板に照明をつけたいのですが。
電気屋に依頼したら1人工ほどでできますよ。
全部合わせて4人工ほどですね。ありがとうございます。

  • これから、サロンをオープンするので、予算があまりないこと。
  • 根拠のない価格交渉ではなく、材料を自分で探すなりして工夫して価格交渉をしていること。
  • 人工は値切らず、職人さんの仕事を尊重していること。

このことが相手に伝われば、コストダウンをしつつ工事業者さんにも気持ちよく仕事をしてもらうことができます。
その中で、どの工事をどの業者さんにやってもらえばいいかなどのアドバイスをもらうこともできます。

スタッフルームを作る際の注意点

スタッフルームを作る際の注意点

スタッフルーム、いわゆるバックヤードですがこの空間を作る際は注意が必要です。
適度に居心地が悪いようにしなければならないという点です。

スタッフルームはお客さんの目からは見えず、気が緩みやすい空間です。
事務作業などをしていても、ついついダラダラしがちです。
そのために、居心地が良すぎてはダメなのです。
スタッフルームを作る上での簡単なチェック項目をピックアップしてみます。

  • 天井が高い場合、棚を天井まで設置するなどして多少の圧迫感をだす
  • 照明は暗めにする
  • 空調は設置しない
  • 同時に複数人が入れないようにする
  • フロアの声が聞こえるように天井部分の壁にはスキマを作る
  • フロアと違って一切お金をかけない(床の張り替えをしないなど)

スタッフルームでなければ出来ない仕事というのはほとんどありません。
事務作業でも受け付けのカウンターなどでできます。
しかし、ちょっと一休みしたいということで、スタッフルームが使われがちです。
どの程度の居心地にするかは、あなたの判断ですがサロンはお客さんを迎えるメインのフロアの居心地を良くするべきということを念頭においておきましょう。

消防法はじめ、法律を確認しないと余計なお金がかかる

消防法はじめ、法律を確認しないと余計なお金がかかる

実際によくある話をご紹介します。

都内でサロンをオープンして数ヶ月たった時、近隣の消防署から見回りがきました。
店内が消防法に則って施工されているかの抜き打ち検査です。
部屋を区切っている場合、スタッフルームも含め各部屋にスプリンクラーが設置されている必要があるそうです。
もし、スプリンクラーが設置していない場合、通気口を設けるか間仕切りの壁に一定サイズの穴を開けるかなどの対策をとらなければならないと指摘をうけました。
工事のために臨時休業し、設置した什器の移動などをおこない、工事費用の出費もあったので痛手でした。

これは消防法を例に取ったお話しですが、業種によっては保健所の許認可を取らなければならないものもあります。
地域の役所に事前に相談して、施工内容などのチェックを事前にうけることをオススメします。

退去時の事を考えておくことは重要

退去時の事を考えておくことは重要

居抜き物件をご存知でしょうか。
美容サロンはもちろん、飲食店などで多くあります。
以前、営業をしていた店舗の造作そのままでその物件を借りられますよというモノです。
初期工事費などの負担が減るので、新たにお店を出す方にとっては魅力的だといえます。
しかし、なぜ居抜き物件というのもは存在するのでしょうか。
それは、退去時の原状復帰というルールが存在するからです。

原状復帰とは、入居時の状態(原状)に戻すということを指します。
「退去時には原状復帰」この一文は不動産賃貸契約には必ず記載されています。

居抜き物件と原状復帰の関係ですが、原状復帰というのは非常にお金がかかります。
場合によっては、お店をオープンした時の工事費用同等額かかる場合があります。
その費用を捻出できず、居抜きのまま次の借り手を探している人がいるというわけです。

尚、居抜き物件を借りた場合でも退去時には元の借り手が借りた一番最初の状態まで原状復帰させる必要があるので注意が必要です。

※現状復帰、原状復帰、現状回復、原状回復いろいろありますが概ね同じ意味と考えて大丈夫です。

あなた自身が一から工事を依頼してお店を作り上げた場合でもこの問題は重要です。
たとえば、床にカーペットが敷き詰められていた場合、そのカーペットをはがしてタイルを貼るなどの工事をするとします。
そのカーペットは廃棄せずに保存しておく必要があります。
また、金属のドアを取り外してガラスのドアに交換した場合、同様に元のドアを保存しておく必要があります。
ウォシュレットなどの便座など備品などもすべて保存しておきましょう。

まとめ

まとめ

コストダウンというのは、するほうは魅力的ですが、されるほう(業者さん)にとってはイヤなものです。
コストダウンというより協力してもらうという考えを持ったほうがいいです。
特に、根拠のない価格交渉というのはお互いに不利益を生みがちです。
「材料の品質を落としてコストダウンできませんか?」といった具体的な価格交渉は問題ないのですが、「もう少し安くなりませんか?」いった交渉は控えた方がいいでしょう。
施工後、トラブルがあった場合なども気持ち良く対処してもらうためには、良い関係で工事をしてもらうことが大切です。


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