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スクラブ選びのポイントとなる、素材別の特徴と現場で求められる機能
第二回は「スクラブ選びのポイントとなる、素材別の特徴と現場で求められる機能」についてご紹介いたします。
スクラブは、「ごしごしこすって洗う」という意味の英語「Scrub」を語源とし、その名の通り気軽に洗濯ができるなどの使い勝手の良さや、機能性、デザイン面などが優れたユニフォームです。
多くの方がさまざまな観点でスクラブを選ばれると思いますが、本記事では「素材」と「機能」に着目し、その特徴を深掘りしていきます。スクラブ選びの参考になれば幸いです。
目次
素材別にみるスクラブの特徴
スクラブの素材は大きく分けて3種類あります。それぞれの特徴を見ていきましょう。- 綿100%
- ポリエステル100%
- ポリエステル・綿混
綿100%
綿(コットン)は、一般的にアオイ科ワタ属の植物から取れる「ワタ」からできる木綿(もめん)を指します。メリット
● 肌触りがよい。
● 汗をよく吸い、通気性にも優れている。
● 酸以外の薬品に対し、耐性がある。
● 熱に強く、万が一火がついてもポリエステルほどは燃えない。
デメリット
● 洗濯による縮みやシワ、色落ちがある。
ポリエステル100%
ポリエステルは、ペットボトル(PET)と同じ、ポリエチレンテレフタレートという化学物質を原料とし、この物質を高温で溶かし、長い繊維に紡ぎあげたものです。メリット
● 洗濯による色落ちや縮みが少ない。
● シワになりにくく、ノーアイロンでも使用できるものが多い。
● 乾きやすい。
● 薬品全般に強く、石油由来のため虫害もないとされている。
デメリット
● 綿に比べると通気性や吸汗性に劣る。
● 燃えやすい。小さな火の粉がついただけでも溶けてしまう。
● 静電気が起きやすい。
● コシが強い。特有の「ゴワつき」や「ザラつき」がある。
ポリエステル・綿混
綿とポリエステル、両方の良いところを組み合わせた素材です。綿とポリエステルの比率は、製品毎に異なりますが、おおよそ半分ほどの比率のものが多く、どちらかと言えばポリエステルの特性が多く出ます。
最近は、生地の織り方に工夫をすることで、吸汗性や速乾性をさらに強化したものや、肌触りの良さという綿の特性を生かしたものなどがあります。
現場で求められるスクラブの機能
医療や介護の現場で求められる機能にはどういったものがあるのでしょうか。ストレッチ
介護の現場では、寝返りや起き上がり、入浴などの介助で身体を大きく動かし、無理な動作や姿勢になることが多くあります。そのため、現場で着用するスクラブには、肩まわりや背中部分などの伸縮性の高さや動きやすさが求められます。ストレッチ機能がついたスクラブであれば、日々の診察や処置などのハードな動きにも対応でき、ストレスを感じることはありません。
吸汗速乾
病院や施設内では空調管理が整っていますが、現場での業務で汗をかくことは珍しくありません。たとえば介護やリハビリの現場では、大きな動きをすることが多くありますし、また、手術の際には、その緊張やストレスで汗をかくことも多いでしょう。常に平常心で迅速な対応が求められる医療現場においては、心身ともに快適な状態を維持することが大切です。
吸水速乾機能がついていれば、汗を素早く蒸発させて快適な着心地を常に保ちます。
制電
制電素材を織り込むなどして、静電気を防止するのが制電機能です。制電機能があると、衣服が脚にまとわりつきにくく、さらりとした着心地が続きます。
また、埃の付着を軽くする効果もあります。
制菌
繊維上の菌の増殖を抑制するのが「制菌加工」です。
様々な感染症の感染リスクが高い医療現場で安心して働くためには、必要な機能といえるでしょう。
制菌加工には一定の基準があり、「SEK」と書かれたマークが付いているものはJTETC(一般社団法人 繊維評価技術協議会)の認証を受けています。
制菌加工のSEKマークには、一般用途の橙マークと特定用途の赤マークの2種類があります。
赤のマークの認証を受けた制菌加工の方がより高度かつ強力であり、人体に悪影響を及ぼす肺炎桿菌(かんきん)や黄色ブドウ球菌の増殖も抑制してくれます。
抗ウイルス
繊維上の特定のウイルスの数を減少させる「抗ウイルス加工」が施された生地もあります。
ウイルスの働きを抑制したり、病気の治療や予防をするものではありませんが、この機能があることで、より安心して働くことができるでしょう。
なお、「抗ウイルス加工」についてもSEKマークによる認証があり、黄色と黒のカラーリングとなっています。
防臭・消臭
空調管理が整った病院や施設内でも、業務中に汗をかくことは少なくありません。
また、業務内容によっては外へ出る場合もあり、特に夏場は汗をかく機会がとても多くなります。
たとえば、介護の現場では、歩行介助や車椅子への移乗介助などで、身体を相手に密着させる機会もあり、汗の臭いが気になる方もいらっしゃるでしょう。
そこで重宝するのが防臭/消臭加工です。防臭/消臭加工にもSEKマークによる認証があります。
抗菌防臭加工
繊維上の細菌の増殖を抑制し、嫌な臭いを防ぎます。
光触媒消臭加工
繊維が臭気成分と触れることにより、光触媒効果を伴い、不快臭を減少させます。
消臭加工
繊維が臭気成分と触れることにより、不快臭を減少させます。
(JTETCが定めた臭気カテゴリー毎に認証されます)
形態安定
形態安定加工は、アイロンをかけずに衣類を着用できるように、防縮性・防シワ性などの加工を指し、「形状記憶加工」と呼ぶ場合もあります。
一般にポリエステルの割合が高い生地は、比較的シワがつきにくいといえます。
しかしながら、長時間着用すると、ヨレやシワはある程度出てきてしまうものです。
医療機関にふさわしいパリッとした清潔感ある装いを保つ上で、形態安定加工は大いに役立ちます。
色落ち耐性
新型コロナウイルスやSARSなどの感染症防止対策として、厚生労働省は次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系漂白剤による消毒を推奨しています。
ただ、これらの漂白剤はスクラブの色落ちの原因となる場合があります。
そこで注目したいのが「色落ち耐性を持つ生地」です。糸を染色するのでなく、繊維の段階で顔料を練り込んで作っている生地で、次亜塩素酸ナトリウム消毒や過酸化水素水に対して、非常に高い耐性を持っています。
高い衛生環境が求められる医療現場に特に適した素材で、ウイルス対策に取り組みつつ、見た目の良さも維持できます。